[メイン2] 夜に駆ける子 : …………

[メイン2] イサドラ : …どういうつもりかしら

[メイン2] 夜に駆ける子 : ……ごめんなさいイサドラ

[メイン2] イサドラ : すかさず銃口を構える

[メイン2] イサドラ : あまり気は長くないわよ

[メイン2] 夜に駆ける子 : ………私、もう限界になっちゃったの

[メイン2] イサドラ : 今度は二回も待たない

[メイン2] 夜に駆ける子 : …………………………

[メイン2] イサドラ : ……

[メイン2] 夜に駆ける子 : ……撃ってもいいわ、でも私の話、聞くだけ聞いてくれるかしら……?

[メイン2] イサドラ : …ったく、良いわよお嬢さん

[メイン2] イサドラ : アンタの顔、滅茶苦茶だからね

[メイン2] 夜に駆ける子 : ………ありがとう、イサドラ

[メイン2] 夜に駆ける子 : ………あのね、私……この世界の人間じゃないの

[メイン2] イサドラ : でも、寄らないで

[メイン2] イサドラ : ……

[メイン2] 夜に駆ける子 : ……わかったわ

[メイン2] イサドラ : 続けて

[メイン2] 夜に駆ける子 : ……この世界に来て、戸惑うことが多かった……でも、それでも頑張って順応していった

[メイン2] イサドラ : ええ

[メイン2] 夜に駆ける子 : 完璧な市民として生き続けてきたわ

[メイン2] 夜に駆ける子 : 「コンピューター様」に支配されて

[メイン2] イサドラ : そう

[メイン2] イサドラ : ……

[メイン2] 夜に駆ける子 : ………でもね、V様のご命令で、浴場に行ったじゃない

[メイン2] イサドラ : ええ…それが?

[メイン2] 夜に駆ける子 : あの会話は偽りだったのかもしれないけれども………私は初めて「人」と話した……そんな想いになったの

[メイン2] イサドラ : .........

[メイン2] イサドラ : まぁ、いいわよ

[メイン2] 夜に駆ける子 : ……それでっ……もう、元いた世界のことを、思い出して……

[メイン2] イサドラ : 銃口を降ろす

[メイン2] 夜に駆ける子 : もう、私………耐えられなく…

[メイン2] 夜に駆ける子 : ……!

[メイン2] イサドラ : まぁ、騙されたなら私が完璧じゃないだけね…ったく

[メイン2] 夜に駆ける子 : イサ、ドラ………

[メイン2] 夜に駆ける子 : ごめん、なさい…………

[メイン2] イサドラ : 待ちなさい、ならこっちも

[メイン2] 夜に駆ける子 : 私の、こんな幼稚な我儘のためだけに……

[メイン2] 夜に駆ける子 :

[メイン2] イサドラ : 一つ言っておくけど、私はまだ一人目よ…まぁそれだけ

[メイン2] イサドラ : これで貸し借りは無し

[メイン2] イサドラ : だからまぁ…ったく、変にしょぼくれられても困るわ

[メイン2] 夜に駆ける子 : …………………

[メイン2] 夜に駆ける子 : それでも、私は………私は………

[メイン2] イサドラ : 言いなさい

[メイン2] 夜に駆ける子 : もう、「あなた」しか、私の目に映らないの……

[メイン2] イサドラ : そう、いいわよ

[メイン2] 夜に駆ける子 : ………「終わりにしたい」

[メイン2] イサドラ : こっちも貴女を一番に見てもいい

[メイン2] イサドラ : どうするつもりかしら…

[メイン2] イサドラ : 言い渋るような事、するもんじゃないとは言っとくわよ

[メイン2] 夜に駆ける子 : …………一緒に、死んでくれないかしら

[メイン2] イサドラ : ……はぁ

[メイン2] 夜に駆ける子 : …………だめよね

[メイン2] イサドラ : いい趣味してるわね

[メイン2] 夜に駆ける子 : ……………

[メイン2] イサドラ : 待ちなさいっての

[メイン2] 夜に駆ける子 : ……!

[メイン2] イサドラ : 言っとくけど、思い付きならここで撃つわよ

[メイン2] イサドラ : それにねぇ…ああもう

[メイン2] イサドラ : いいわよ、どうせここから出るのは厳しいんじゃない?

[メイン2] 夜に駆ける子 : ……本当に、ごめんなさい………耐えられなかった、もう、止まれなかったの

[メイン2] イサドラ : 良くも悪くも、夜しか見えないったら仕方ないわね

[メイン2] イサドラ : んじゃあ…そうね

[メイン2] イサドラ : 最後に言っとくけど

[メイン2] 夜に駆ける子 : ………!

[メイン2] イサドラ : お宝は.........

[メイン2] イサドラ : そう言って夜の手を取る

[メイン2] イサドラ : 無茶をしたのか少し汚れてはいるが…気にはならない

[メイン2] イサドラ : その指先を差し込むと、声が漏れる

[メイン2] イサドラ : …おへそよ、察し悪いわね貴女

[メイン2] イサドラ : 次は愉しませて頂戴

[メイン2] 夜に駆ける子 : ……………あは、ははは……

[メイン2] 夜に駆ける子 : ………ねぇ、生まれ変わりって、信じる?

[メイン2] イサドラ : そうね、本になったり怪物になるよりはロマンチックよ

[メイン2] 夜に駆ける子 : ……生まれ変われるとしたら、私達…………今度は、違う世界で…………

[メイン2] イサドラ : いいけど、忘れないでよ?

[メイン2] イサドラ : 貴女、フラフラ別の女に付いて行ってたら今度はただじゃ置かないわ

[メイン2] 夜に駆ける子 : 忘れない、絶対に、あなたのことは魂が忘れない

[メイン2] イサドラ : そうね、私も忘れ無さそうよ

[メイン2] 夜に駆ける子 : あなたも私以外の方を向いちゃ駄目 もしそうしたら呪い殺すわ

[メイン2] イサドラ : 告白代わりに心中を願う女なんて忘れられないわよ

[メイン2] 夜に駆ける子 : 「(あぁ……闇が、体を包んで……………)」

[メイン2] 夜に駆ける子 : (イサドラを抱き締める)

[メイン2] イサドラ : 言っておくけど怒ってたり呆れてはいないから

[メイン2] イサドラ : こんな死に方なら、まぁ悪くないわよ

[メイン2] 夜に駆ける子 : !!……………

[メイン2] イサドラ : やれ完璧じゃないとか

[メイン2] イサドラ : やれ階級だとか

[メイン2] 夜に駆ける子 : (私の目に映る、あなたは綺麗だ)

[メイン2] イサドラ : 命をくれてやるには軽いわね

[メイン2] イサドラ : 貴女にあげるから、落とさないでよ

[メイン2] イサドラ : (どこの誰だか知らないけど、あの時のワープに感謝するわよ)

[メイン2] 夜に駆ける子 : ───────変わらない日々に泣いていた僕を
────君は優しく終わりへと誘う
───────沈むように溶けてゆくように
───染み付いた霧が晴れる
────忘れてしまいたくて閉じ込めた日々に
───────差し伸べてくれた君の手を取る
─────涼しい風が空を泳ぐように今吹き抜けていく
────────繋いだ手を離さないでよ


─────────────────二人今、夜に駆け出していく

[メイン2] イサドラ : (いい今わの際じゃない、あんな蒼白の司書よりいいわ)

[メイン2] イサドラ : …愛してる

[メイン2] 夜に駆ける子 : ……好き

[メイン2] イサドラ : 目を閉じて、最期を待つ

[メイン2] イサドラ : その温かみが途切れる事は無く、静かに意識は消えた